なんかスーツが似合わないと感じたら|メンズの骨格診断という考え方

井上亜紀

この記事の著者

井上亜紀

国際イメージコンサルタント。株式会社Makeover代表。 看護師として勤務後、百貨店勤務・店長を経てTop Sellerバイヤーに。ECサイト設立・運営ではメルマガ登録者10万人、月100万売上を達成。その後ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)イメージコンサルタント学科でFashion and Designを取得。 2013年より国際イメージコンサルタントとして活動開始。法人・個人で5,000人以上のコンサルティング実績。ニューヨーク・パリ・ハワイでコンサル・ワークショップを開催。Miss ASIA PASIFFICジャパンファイナリストを世界大会第4位へ導く。婚活コンサルティング300名以上、顧客満足度100%。 2015年にイメージコンサルタント養成講座を開講、100人以上の卒業生を輩出。著書『凛女の選択』(Amazon 2冠達成)。 パーソナルスタイル理論「ABCの法則」を軸に、パーソナルカラー・体型・フェイス・スタイルの4軸総合診断メソッドを開発。Niauアプリの診断ロジック監修。

「最近、スーツがしっくりこない」「ジャケットを羽織っても、なんとなく着られている感じがする」。男性のクライアントを担当していると、こうした言葉をよく耳にします。多くの方は「歳を取ったせいかな」「体型が変わったから」と考えがちですが、実はその違和感の正体は体型ではなく、骨格タイプと服のシルエットの不一致だったりします。

骨格診断は、女性ファッション誌で紹介される機会が多いせいか「女性のもの」というイメージがあります。けれども、生まれ持った骨格や筋肉・脂肪のつき方からその人に似合うシルエットを導き出すこのメソッドは、男性のスーツ選びにこそ強力に効きます。この記事では、メンズの骨格3タイプの見分け方、makeoverで使っているBodygram採寸式の診断アルゴリズム、そして各タイプに似合うスーツ・ジャケット・パンツの選び方を、国際イメージコンサルタントの視点でまとめます。

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「あの人スーツが似合うね」と言われる男性って、よく見ると体型がものすごく整っているわけじゃないんです。骨格タイプに合ったシルエットの服を選んでいる、それだけ。逆に言えば、骨格に合わないスーツを着ていると、どれだけ高級なオーダーでも違和感が残ってしまうんですよ。

目次

骨格診断とは何か

骨格診断は、生まれ持った骨格、筋肉や脂肪のつき方、肌の質感などの体型特徴から、その人に似合うファッションスタイルを導き出すメソッドです。日本の骨格診断アナリスト協会によって体系化され、現在は3タイプ(ストレート・ウェーブ・ナチュラル)の分類が主流となっています(参照: 一般社団法人 骨格診断ファッションアナリスト協会)。

大切なのは、骨格は体重や年齢では変わらないという点です。ダイエットして痩せても、ウエイトトレーニングで筋肉がついても、骨格タイプそのものは変わりません。だからこそ、自分の骨格を一度知っておくと、それは生涯使える「服選びの基準」になります。スーツの仕立てを変えるたび、体型が変化するたびに迷う必要がなくなる、というのが骨格診断の最大のリターンです。

女性の骨格3タイプはそのまま男性にも適用できますが、男性の体型は女性に比べて筋肉量が多く、上半身の厚みが出やすいため、判定の閾値(しきい値)にやや調整が入ります。後ほど触れますが、この調整がないと男性は全員「ストレート」になってしまうほど、男女差は大きいんです。

メンズの骨格3タイプの特徴

3タイプはそれぞれ、体の重心バランス・厚み・骨感の組み合わせで特徴づけられます。男性の場合、女性の典型例とは少し見え方が違うので、男性の体に置き換えた特徴を整理しておきます。

メンズの骨格3タイプ比較図 ― ストレート・ウェーブ・ナチュラルの体型特徴

ストレート(Straight)タイプのメンズ

上半身にしっかりとした厚みがあり、立体的でメリハリのある体型です。胸板に厚みがあり、肩先が丸く、ウエスト位置が高めにあります。手首は細めで断面は丸く、肌に張りと弾力があるのが特徴。重心は上にあり、いわゆる「がっしりした胸板」「体育会系」「逆三角形」と表現されるシルエットに該当する方が多いです。

ウェーブ(Wave)タイプのメンズ

華奢で曲線的、下重心の体型です。首が長めで鎖骨がくっきり見え、肩はやや なで肩気味。胸板の厚みは控えめで、ウエスト位置がやや低く、ヒップが横に張りやすい傾向があります。手首は薄く、骨の断面が平たい。「線が細い」「やわらかい印象」「優しげ」と言われやすいタイプです。

ナチュラル(Natural)タイプのメンズ

骨感が強く、フレーム感のあるスタイリッシュな体型です。首筋が目立ち、鎖骨が太くしっかりと出て、肩幅が広め。胸板の厚みは中程度で、手首は太く骨ばった印象。膝の皿が大きく目立つ方も多いです。「骨太」「クールな印象」「スポーツ選手のような体型」と表現されることが多いタイプです。

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男性の場合、筋トレで体型を作っている方も多いので、見た目で判断しにくいんですよね。筋肉で胸板が厚くてもナチュラルの方はいるし、痩せていてもストレートの骨格の方もいる。判定は「鎖骨」「手首」「肌の質感」など、筋肉や脂肪では変わらない骨格的な特徴で見ていくのが鉄則です。

男性の骨格を見極める6つの観察ポイント

体型を観察するとき、筋肉量や脂肪のつき方に左右されない部位を見ることが大切です。男性は特に、トレーニング歴によって表面的な印象が変わりやすいため、骨そのものの特徴に注目します。次の6つを順に確認すると、自分のタイプの輪郭が見えてきます。

男性の骨格を見極める6つの観察ポイント ― 首・鎖骨・肩・手首・太もも・肌質
  1. 首の長さ:短めならストレート、長めならウェーブ、筋が目立つならナチュラル
  2. 鎖骨の見え方:目立たずハリ感があるならストレート、細くくっきり浮き出るならウェーブ、太く骨太に出るならナチュラル
  3. 肩の形:肩先が丸く僧帽筋が発達しているならストレート、なで肩で華奢ならウェーブ、肩幅が広くフレーム感があるならナチュラル
  4. 手首の太さと形:細く断面が丸いならストレート、薄く平たいならウェーブ、太く骨が目立つならナチュラル
  5. 太ももと膝下のメリハリ:太ももが太く膝下が細いならストレート、太ももが細めで膝下がやや太いならウェーブ、全体に肉感が少なく膝の皿が目立つならナチュラル
  6. 肌の質感:張りと弾力がありゴム的ならストレート、柔らかくふんわりしているならウェーブ、マットで骨感があるならナチュラル

6項目のうち4つ以上が同じタイプに該当すれば、その骨格と判定して良い精度です。3対3で割れる場合は「ミックスタイプ」の可能性があり、より優位な要素を持つ側に寄せて考えます。

makeoverのBodygram採寸式骨格診断

makeoverでは、目視判定に加えて、Bodygram(カメラ採寸技術)で取得した身体計測値から、客観的に骨格タイプを算出するアルゴリズムを使っています。主観に頼りすぎないことで、自己診断のブレを最小化するのが目的です。アルゴリズムは6つの数値指標を組み合わせてスコアリングします。

Bodygram採寸式骨格診断アルゴリズムの6つの指標とスコアリングフロー
  • 上下バランス比:(バスト+肩幅)÷(ヒップ+太もも)。上重心ならストレート、下重心ならウェーブ
  • 体の厚み指標:(バスト−アンダーバスト)÷身長×100。厚みがあればストレート、薄ければウェーブ
  • 手首の骨感指標:手首周り÷身長×100。太いならナチュラル、細いならウェーブ
  • 脚のメリハリ指標:太もも周り÷ふくらはぎ周り。メリハリ大ならストレート、メリハリ小ならウェーブ
  • フレーム感指標:肩幅÷ヒップ。広めならナチュラル、狭めならウェーブ
  • ウエスト位置指標:股下÷身長。高めならストレート、低めならウェーブ

男性の場合、女性と同じ閾値を使うと全員ストレートに寄ってしまうため、上下バランス比は+0.05、体の厚み指標は+1.0、フレーム感指標は+0.05だけ閾値を上方修正します。これにより、男性の中でも骨格的にウェーブやナチュラル寄りの方を、適切に拾い上げられるようになります。

3タイプ別 メンズに似合うスーツ・ジャケット・パンツ

骨格タイプがわかったら、次は実際の服選びです。スーツ・ジャケット・パンツの3つは、男性が日常で使う頻度が高く、骨格との相性がもっともはっきり出るアイテムです。タイプごとの推奨と避けたいシルエットを整理します。

骨格3タイプ別 メンズスーツ・ジャケット・パンツの似合うシルエット例

ストレートメンズに似合う服

シンプルで上質、ジャストサイズが鉄則です。装飾過多や、だぼっとしたオーバーサイズはストレートの「ハリのある体型」を埋もれさせます。素材は張りのあるウールやコットン、シルエットはIラインを意識します。

  • スーツ:シングル2つボタン、Iラインのジャストサイズ、上質ウール
  • ジャケット:センタープレスがきれいに出る張り感のある素材、Vゾーンが深め
  • シャツ:プレーンなホワイトやライトブルー、シャツカラーかワイドスプレッド
  • パンツ:センタープレスのストレート、ワンタックまでに抑える
  • 避けたい:オーバーサイズ、フリル装飾、薄手やふわふわ素材、タートルネック

ウェーブメンズに似合う服

コンパクトでフィット感のある、やや装飾のあるシルエットが似合います。ストレートメンズが得意なジャストサイズは、ウェーブメンズにとっては大きすぎて間延びして見えがち。スリムフィットを基本にして、ハイウエストで重心を上に寄せると、華奢さが整って見えます。

  • スーツ:コンパクトフィット、ハイウエストでウエストマーク、柔らかいウール
  • ジャケット:ノッチドラペル、肩まわりがすっきり、丈短め
  • シャツ:スリムフィット、ラウンドカラーやカッタウェイ、柔らかいコットン
  • パンツ:テーパード、くるぶし丈、ハイライズ
  • 避けたい:オーバーサイズ、ボックス型、厚手のハード素材、ローライズ

ナチュラルメンズに似合う服

ゆったりとリラックスしたシルエット、素材感のある生地が似合います。骨感を活かすので、フィットしすぎる服はかえって貧相に見えがち。ドロップショルダーや、麻・ツイードといった凹凸のある素材を選ぶと、フレーム感が魅力に変わります。

  • スーツ:オーバーサイズ気味、ドロップショルダー、リネンやツイード
  • ジャケット:ノーカラーやマオカラー、ざっくりした織りの素材
  • シャツ:オープンカラー、リネンやヘリンボーン、ゆとりのあるシルエット
  • パンツ:ワイドテーラード、テーパードでも余裕のある太さ
  • 避けたい:タイトすぎるフィット、ツルツルの薄手素材、詰まったネック
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試着のときの判断基準としてお勧めしたいのが、「鏡から3歩離れて、体のラインが消えるか・浮き上がるか」を見ること。骨格に合った服は、体のラインがほどよく整って見えます。合わない服は、肩幅やウエストの位置だけが妙に目立って、全体のバランスが崩れて見えるんですよ。

自宅でできる簡易セルフチェック

正確な診断はプロに任せるべきですが、自分でおおよその方向性を掴むためのチェック方法を3つ紹介します。

  1. 手首一周テスト:利き手の親指と中指で、反対側の手首を一周握る。指が重なるほど細ければウェーブ寄り、ちょうど触れる程度ならストレート寄り、指の間に隙間が空くならナチュラル寄り
  2. 鎖骨の見え方:肩の力を抜いて鏡を見る。鎖骨がほぼ目立たないならストレート、細くくっきり見えるならウェーブ、太くしっかり浮き出るならナチュラル
  3. 胸の厚みテスト:横から鏡で見たとき、胸の最も出ている部分とアンダーバストの差を観察。差が大きく胸が前に出ているならストレート、差が小さく薄いならウェーブ、中程度ならナチュラル
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セルフチェックで「ミックスっぽい」と感じる方は珍しくないんです。手首は細いのに肩幅は広い、というように複数のタイプが混ざる方は男性に多いんですよ。その場合は、優位なタイプを軸にしつつ、もう一つのタイプの推奨も柔軟に取り入れていく、というのが現実的なアプローチになります。

自分のシルエットと出会うと、毎日の服選びが変わる

骨格は変わらないので、一度自分のタイプを知っておくと、それは一生使える服選びの軸になります。試着室で「サイズは合うのに、なんかしっくりこない」と感じる経験が、明確に減っていきます。スーツの仕立てを頼むときも、ジャケットを買い替えるときも、シルエットの方向性が決まっているとブレません。

そして何より、骨格に合った服を着ると、立ち姿が自然と引き締まります。猫背っぽく見えていた人がしゃんと見えたり、線が細く見えていた人にちょうどよい厚みが出たり。これは服が骨格に「乗る」感覚で、私が現場で何度も目撃してきた、地味だけれど劇的な変化です。あなたの体には、あなたにしか着こなせないシルエットがあります。それを知るだけで、毎朝の鏡の前の時間が、ほんの少し楽しいものに変わっていきますよ。

骨格×パーソナルカラーの組み合わせで似合うを絞り込みたい方は「骨格×カラー12通り|自分の組み合わせから似合うを絞り込む」、骨格3タイプそれぞれの女性向け詳細解説と比較したい方は「骨格診断で似合う服がわかる|ストレート・ウェーブ・ナチュラル+体型5タイプ徹底解説」も合わせてどうぞ。

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